2010年7月29日木曜日

イラストレータ形式の地質図データをGISデータに変換する その3

6.各レイヤーに属性情報を与える。
 (1) レイヤ上で右クリックして、属性テーブルを開くを選びます。属性テーブルの右下にあるオプションからフィールドの追加を選びます。名前には、legendといれます。種類はtextを選びます。長さは凡例の長さの上限値(ここでは20)を入れます。OKを押します。
 
 (2) legendの列を右クリックして、プロパティを選び、主な表示フィールドとして使用にチェックを入れます。

 (3) legendの列の上で右クリックし、フィールド演算を選びます。種類は文字列を選び、関数はFormat( )を選びます。(  )の中に下記のように引用符でくくって属性の名前を入れます。ここでは、Format ( "AC01_PG23ms_Pgm" )と入力しました。属性の名前はレイヤー名をそのままコピーするとよいでしょう。OKを押すとポリゴンの数がいくつあっても一度に属性の名前を入力できます。各レイヤーすべてに同様に属性の名前をいれます。


 (4) legendと同様に、地質図の凡例記号の列を作成します。labelの列(種類はtext、長さは10)を作成し、そこに、凡例記号を入れます。ここでは、AC02_PG23altの凡例記号として、”Pga”をラベルの列に入力しています。





7.各レイヤーを一枚ずつ統合化する。
(1)ArcToolBoxで、解析ツール>>> オーバーレイ>>>アップデートを選びます。一番下のレイヤ(ここでは、AC01_PG23ms_Pgm)を入力フィーチャに、2番目のレイヤ(ここでは、 AC02_PG23alt)をアップデートフィーチャに選びます。 出力フィーチャークラスは、例えば、ここではAC01_02_updateとします。そして、次に先ほど作成したAC01_02_updateを入力レイヤにして、アップ デートレイヤに3番目のレイヤを入れます。これを繰り返して、すべてのレイヤを合成させます。

ラインやポイントの場合は、 ArcToolBoxでマージを選んで、まとめて統合化します。


 アップデートにより、下位の地層のうち、より上位の覆われた部分が、順に上位の地層のポリゴンに置き換わっていきますので、イラストレータでデータを作成する際に、より下位の地層をやや広めに書いておくことがポイントです。



(2)合成したレイヤ上で右クリックし、プロパティ>>>ラベルを開きます。カテゴリ>>>スタイルのシンボルに一致を選んで、値の追加ボタンからすべてのレイヤを追加します。OKを押すと、各レイヤーごとに色分けされた状態で表示されます。



(3)レイヤの順序を整えて、各レイヤに適切な色をつけます。

(4)もし、うまくアップデートできないは、イラストレータの描画のミスである場合があります。

○下記のように、一つのポリゴン同士で微妙に重なっている場合



○微小ポリゴンができてしまっている場合。

このような場合は、編集モードに入ってラインを修正するか、イラストレータ上で修正しましょう。

微小ポリゴンを目で見つけるのは大変ですが、下記の方法で容易に検索できます。(ESRI JapanのFAQより)

(1)ArcToolBoxで、ジオメトリのチェックを選ぶ。チェックしたいポリゴンを選択した上で、 出力テーブルには適当な名前を入れます。



(2)そうするとジオメトリに問題のあるテーブルが出力されるので、それを開くと問題のあるポリゴンのID番号がわかります。属性テーブルでその番号を探せば、微小ポリゴンなどジオメトリに問題のあるポリゴンを比較的容易に探せます。



微小ポリゴンは編集モードに入って、不要なノードを消去すれば修正できます。

続きはその4へ。

イラストレータ形式の地質図データをGISデータに変換する その2

4.ジオデータベース形式にデータを変換する。
 (1) ArcCatalog上で右クリックし、新規作成>>>ファイルジオデータベースを選びます。ここでは、Yatsushiro.gdbを作成しました。
 (2) 作成したYatsushiro.gdbを開いて、そこで右クリックし、新規作成>>>フィーチャーデータセットを選びます。ここでは Yatsushiroと名前を付けました。このフィーチャーデータセットの中にシェープファイルから変換したジオデータベースファイルを保存していきます。


ジオデータベースに変換する理由:トポロジーの整合性のチェックなどの面で、ジオデータベース上で作業した方が便利な点が多数あるため。


 (3) ArcCatalog上で、変換したいシェープファイルを右クリックし、エクスポート>>>ジオデータベース(シングル)を選びます。保存先には、(2)で作成したYatsushiroを選びます。出力先の名前には日本語やハイフンは使えないので注意しましょう。すべてのレイヤーをジオデータベースに変換します。


 レイヤーが多数ある場合は、バッチ処理でまとめて変換できます。 ArcToolBoxで変換ツール>>>ジオデータベース変換>>>フィーチャークラスー>フィーチャークラスを選択して右クリックし、バッチを選びます。そこで下記のように入力フィーチャー、出力場所、出力フィーチャークラスの一覧表を作っておいてOKを押すとまとめて変換できます。あらかじめエクセル上でこの表を作っておいて、必要な行数分をプラスボタンで追加したのち、必要な行数分を選択して青色の状態にし、エクセルからカットアンドペーストすると比較的容易にこの表を作成できます。


5.ArcMap上に表示する。
ArcCatalogのジオデータベースファイルをドラッグアンドドロップでArcMap上に移して表示させます。 レイヤー数が多い場合は種類ごとに行います。ここでは、ACのファイル群を表示しています。きちんと変換できているかどうか確認しましょう。

続きはその3へ。

シンボル情報を多数のレイヤに一度に反映させる方法

ArcMap上で何か作業をするとシンボル情報が消えてしまう(凡例の色が無くなってしまう)ことがよくあります。数枚なら、他のレイヤのシンボル情報をひとつずつインポートして適用すればよいのですが、100枚近くレイヤがある場合は各レイヤごとに色を与えなおすのはかなり大変!です。

下の図は20万分の1シームレス地質図を20万区画ごとに分けたところです。このように100枚以上のレイヤにシンボル情報を与えるのはとても面倒です。そこでまとめて一括処理を行いたいと思います。


下記のようにバッチ処理をすると一度に変換できます。

1.ArcToolBoxで、データ管理ツール>>>レイヤーとテーブルビュー>>>レイヤのシンボル情報を適用を探し出します。 ここで右クリックして”バッチ”を選びます。



2.シンボルを適用したい各レイヤーのリストを左側に、右側にインポートしたいシンボルレイヤー名を入力します。あらかじめエクセルでまとめて対応表を作っておいて、バッチ処理の表の上でプラスボタンを押して必要な行数だけ追加したのちに、対応表をカットアンドペーストすると便利です。



3.OKを押すと一度にシンボル情報が各レイヤに反映されます。

イラストレータ形式の地質図データをGISデータに変換する その1

イラストレータで作成した地質図データを、GIS形式のデータに変換する方法の一例です。
手持ちのイラストレータのデータをGIS形式に変換したい方はぜひご一読ください。

1.Plug X SHAPE4.0CS(株式会社地理情報開発)で四隅に緯度経度を入力して変換。
使い方は、Plug Xのマニュアルを参考にして下さい。



ポイント1.20万分の1地質図幅など小縮尺の地質図はUTMで作成されています。ただ今のところPlug Xでは、UTMとして読み出せません(上下、左右のラインがそれぞれ並行であると仮定したうえで変換します)。そのため、これから手書きの地質図をイラストレータでトレースしてそれをGIS化する方は,ぜひ先に正規化の作業を行ってください.手書きの元図を400dpi程度でスキャンしておいて、ArcGIS上でジオレファレンスを行い、正規化(上下、左右の辺がそれぞれ並行になるように)します。その上でイラストレータでトレースすると後で補正する必要がないので楽です。すでにイラストレータ形式になっている場合は、そのまま変換して最後にずれを修正します。

ポイント2.地質図の場合は、Plug Xで変換する前に、各地層ごとにレイヤーを分けましょう。イラストレータのデータに交点があるとうまく変換ができない場合があります。各地層ごとに分けて変換した後でArcGIS上で各レイヤを合体させます。変換の作業の途中で、順序がわからなくならないように、各レイヤー名の頭に記号+連番をつけておくと便利です。

ポイント3. レイヤーを一度に変換しようとするとうまくシェープファイルに変換できない場合があります。その場合は個別にレイヤーを選択して、地層名もできるだけシンプルにしてレイヤーごとに変換するとうまくいくことが多いようです。



2.Arc Catalogでファイルをポリゴン、ライン、ポイントに分けて整理する。
各レイヤーのデータタイプに基づいて、ポリゴン、ライン、ポイントに分けて、フォルダごとに整理します。






3.Arc Catalog上でデータに地理座標系を与える。
 レイヤの数が多い場合は、下記のようにArcToolBoxから投影変換のバッチ処理を選んで,まとめてバッチ処理を行うと便利です。


 1の変換で世界測地系にした場合は、出力データの座標系をJGD2000にしましょう。今回は地質図幅の範囲が日本測地系で与えられていますので、GCS-Tokyoを与えています。最後にまとめて、世界測地系に変換します。

続きはその2へ。



ジオロジストのためのGIS入門

最近、仕事で使っているGIS関連のノウハウなどを少しずつ紹介していく予定です。特に、地質屋さん(ジオロジスト)向けの話題を提供したいと思っています。

なお,基本的なGISの説明や使い方は,下記のサイトやGISの各種関連書籍を参考にしていただければ幸いです.

GIS入門
ESRIジャパン   
GISポータルサイト
てくてくGIS
ぼろぼろGIS

GISの関連書籍

ここで紹介するGISソフトは,ArcInfo 9.3.1 SP1を使っています.また,マシンはWindows7です.