2011年7月26日火曜日

ディゾルブによるシームレス地質図詳細版、基本版の作成方法

20万分の1日本シームレス地質図の元のベクトルファイルは、オリジナルの20万分の1地質図幅の境界線の情報を持った状態になっています。これを同じ凡例のポリゴンについてディゾルブをかけて、不要な地質境界線を削除した上で,詳細版(凡例数386)、基本版(凡例数196)を作成します。

この作業は、TNTmipsというGISソフトウェア上で行いました。TNTmipsは、ポリゴンとラインを同一のレイヤで扱えるため、地質図のように地質境界線と断層線が完全に一致している必要がある場合は、重宝します。

シームレス地質図のオリジナルベクトルファイル


メニューの各種図形>>>フィルタを選びます。ベクタオブジェクトはオリジナルファイルを指定します。そして、フィルタの横のプラスボタンを押して、ディソルブポリゴンを選びます。左から2つ目の矢印を押し、テーブルはGEOLOGY、フィールドはNew_Noを選択します(詳細版の場合)。基本版の場合は、Kihon_Noを指定します。
TNTmipsのメニュの各種図形のフィルタの中にあるベクタフィルタを選びます
テーブルはGEOLOGY、フィールドはNew_Noを選び、追加を押します

ディソルブ後、完成したように見えますが,同じ凡例に挟まれた断層も一緒に消えてしまいます。
 
そのため、ディソルブ前のファイルから断層のみをマージします。
各種図形>>>ベクタのマージを選びます。
ディソルブをかける前のRVCファイルを読み込みます。
ライン部分で、要素(エレメント)を使用を選びます。右側の選択ボタンを押すと日本全体図がでてきます。要素選択マネージャのレイヤを開いていくと、ATTRIBUTESがでてきますのでチェックを入れます。このAttributeテーブルから必要なレイヤーのエレメント(断層群, 2, 4, 6, 8, 10, 12)を選びます(左側にチェックをいれて左から2つめの要素を選択ボタンを押すと選択できます)。
受け付けるを選べば選択されます。
ポリゴンは「なし」を選びます。
重複レコードは消去を選びます。
断層群のレイヤーを抜き出します。

さらに、このファイルに加えて,ディソルブをかけた後のファイルを読み込みます。
同様にライン部分で、要素(エレメント)使用を選びます。
Attributeテーブルから地質境界線(1)と海岸線(90)、枠線(99)を選びます。
「受け付ける」を押します。
ポリゴンはすべてのままにしておきます。(ディソルブ後のポリゴンが必要なため)

地質図ポリゴン、地質境界線、海岸線、枠線をマージします。
実行を押して、新規ファイルの名称を付けしばらく待つと、20万分の1日本シームレス地質図詳細版のファイルが完成します。ラインには,この時点では作業用の色がついていますが,スタイルファイルを読み込んで実線,破線に直します.基本版は,上記のディソルブのところで,Kihon_Noを選んで同様に処理をすれば完成します.
20万分の1日本シームレス地質図詳細版ができあがります。
ラインスタイルはあとからスタイルファイルを読み込んで変更します。

2011年7月25日月曜日

シームレス地質図を1次メッシュ単位で切り出す方法

シームレス地質図を20万分の1地質図幅の単位(1次メッシュ)で切り出す方法をまとめてみました。

まず、 ArcMap上にシームレス地質図を表示します。
1次メッシュのShapeファイルを読み込みます。1次メッシュのファイルは今回はESRIジャパンのサイトからダウンロードしたファイルを使っています。
ArcGIS10で20万分の1日本シームレス地質図と1次メッシュファイルを表示


これから切り出したい1次メッシュの部分を選択します。その際に下の地質図のポリゴンを間違えて選択しないように注意しましょう.

その上で、ポリゴンジオプロセッシングメニューから、クリップを選びます。入力フィーチャには地質図のポリゴンレイヤーを選びます。クリップフィーチャには1次メッシュを選びます。出力フィーチャクラスには任意のファイル名を付けて保存します。ここでは、5234_d_a.shpとしました。


クリップを使って切り抜きます

 OKを押してしばらくすると、切り取られたファイルが最上部に追加されます。

5234の範囲の地質図が切り取られました

このままではポリゴンに色がついていないため、日本全国のシームレス地質図のポリゴンレイヤーのスタイルを切り出したレイヤに反映させます。切り出したファイルを右クリックしてでてきたレイヤプロパティからシンボルを選びます。右上のインポートボタンをおしてall_japan_d_aのレイヤーを指定します。

地質図ポリゴンの色情報を先ほど作成したレイヤに読み込みます。

 OKを押すと、シンボルのマッチングの画面がでてきますので、New_Noを選びます。

シンボルのマッチングでは、New_No(詳細版の凡例番号)を選びます。

地質図のラインレイヤーについても同様にクリップを選んで切り出します(ArcToolBoxから検索してClipを呼び出してもOKです)。入力フィーチャはall_japan_d_l、クリップフィーチャーは1次メッシュとします。出力フィーチャは,ここでは5234_d_l.shpとしました。
シームレス地質図のラインレイヤーをクリックで切り出します。

しばらく待つと、切り出された5234の範囲の地質図のラインレイヤーが最上部に表示されます。

切り出したラインレイヤを表示。

ポリゴンレイヤーと同様に、ラインスタイルをall_japan_lから読み込みます。レイヤーを右クリックしたうえで、シンボルを選び、インポートボタンを押して、ライン情報を読み込みます。

切り出したラインレイヤーにラインスタイルを読み込みます。
切り出した地質図のポリゴンレイヤーとラインレイヤーをそれぞれ右クリックして、レイヤースタイルとして保存しておきましょう。次に開くときに色やスタイルが保持されます。


レイヤファイルを保存しておきましょう

 日本全国のShapeファイルから切り出すと、ファイルサイズが大きいので、Clipの処理に時間がかかります。下記のようにいくつかのメッシュを選んでおいて、サブファイルを作成してから順に1次メッシュごとに切り出すと比較的効率よく作業ができます。

何地域をまとめて切り出しておいて、そのサブファイルを1次メッシュごとに切り抜くと効率的に作業ができます

切り出したい地域が多量にある場合は、Splitを使えばまとめて分割できます。
まず、上記の方法で、分割したい地域全体をClipで切り出します。下記の図は、九州南部地域を切り出しています。

九州南部地域をClipで切り出した

Splitで分割する前に、Meshの属性テーブルを開いて下記のように、ファイル名をあらかじめ用意しておくと便利です。属性は必ずtextにしておいてください。フィールド演算を使えば1次メッシュの番号との組み合わせでファイル名を作成できます。

分割後のファイル名をあらかじめMeshの属性テーブルに用意しておきましょう
 ArcTool Boxから、Splitを選んで、下記のように入力すると九州南部地域を一度に分割できます。

ArcTool BoxからSplitを選んでまとめて分割します
作成したShapeファイルには、色や線のスタイルがついていませんので、上記の方法で、既存のレイヤーから読み込んで下さい。最後にレイヤファイルやmxdファイルを保存しておきましょう。(図ではArcGIS10で見本を示していますが,少しバグがあるようなので,ArcGIS9で行うことをお薦めします)